第10回 【会社設立の登記】編 ~未成年者の会社設立 1~
未成年者も、大人と同様に、会社を設立し、ビジネスをすることができます。
先日、未成年者からの依頼で株式会社の設立登記をしましたので、備忘録的に手続きを書いて行きたいと思います。
未成年者が会社を設立するにあたり、以下の点につき、注意が必要です。
1.法定代理人の同意が必要。
未成年者が会社を設立する行為を、単独で行うことについて、法定代理人(親権者又は未成年後見人)の同意が必要になります。会社を設立する諸手続きも、法律行為に該当するので、「未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。…」(民法第5条)のルールが、原則通りに適用されるからです。未成年者が行う会社設立手続きの中で、どの手続きについて同意が要るのかまたは、全部の手続きについて逐一同意が要るのか、様々な考え方がありますが、基本的には、全ての手続きについて同意が必要と考えて、次のような行為について、法定代理人が予め同意をします。
・定款認証手続きについての同意
~公証役場において、公証人に定款の認証を受ける手続きの同意になります。
・会社設立登記の申請に関する件についての同意
~登記申請に関する同意です。未成年者が自分で登記申請を行うのであれば、その登記申請行為自体に対して、司法書士等専門職に登記申請の代理を依頼する際には、その委任契約に際して、同意をする必要があります。
・設立する会社の役員に就任することについての同意
~「株式会社と役員及び会計監査人との関係は、委任に関する規定に従う」(会社法第330条)という法律の規定があることから、会社の役員に就任しようとする者は、会社と、(役員就任の)委任契約を締結することが通常であるため、こちらでも法定代理人の同意を要します。
法定代理人の同意がない未成年者の会社設立手続きは、「取消すことができる法律行為」となり、取引の安全に影響を及ぼすため、法定代理人の同意があったことを証明する「同意書」を作成することが一般的です。そして、この同意書は、会社設立登記の登記申請の際に、法務局に提出することになります。
≪参考資料・文献≫
①「新基本法コンメンタール会社法1」 奥島孝康・落合誠一・浜田道代 編 日本評論社2010
②「論点解説 新・会社法―千問の道標」