第8回  【会社設立の登記】編 ~会社の商号について~

【会社の商号とは】

会社を作る際に、その会社の呼び名、名前を決めます。法律上、会社の「商号」と言います(会社法第6条)。今回は、会社の商号について、御紹介致します。

【会社の商号の決定】

基本的には、会社の商号は、発起人が、自由に決めることが出来ますが、いくつか制約のルールがあります。

●ルール①  会社の種類に応じた文字(言葉)を、商号中に用いること。

会社は、その種類に従って、それぞれその商号中に「株式会社」、「合名会社」、「合資会社」、「合同会社」という文字(言葉)を用いなければなりません(会社法第6条2項)。 特例有限会社にあたっては、「有限会社」という名称をその商号中に用いなければなりません(会社整備法第3条1項)。 例えば、会社の種類が、株式会社であるならば、その商号中には、必ず「株式会社」という言葉を入れなければいけません。これは、会社の種類によって、法的効果がまったく異なったものとして扱われるので、その会社が、どの種類の会社にあたるものであるかが、誰にでも、すぐ分かるようにする必要があるからです。 また、会社は、その商号中に、他の種類の会社であると誤認されるおそれのある文字を使用することはできません(会社法第6条3項)。上記と同じ理由で、会社の種類の区別がすぐに付かないような、まぎらわしい商号の表示を避けるための規定です。

●ルール②  同一場所・同一商号の会社の禁止

同一の場所に、本店を置く同一商号の会社は、登記をすることができません(商業登記法第27条)。同一の場所とは、同じ住所地のことを指します。同じ住所地に、同じ商号を使用した会社が先に登記されているときは、後からの設立の登記申請は、受付けられません。 会社は本店の所在地において設立の登記をすることにより成立する(会社法第49条等)とされているため、会社の設立の登記をすることができないということは、つまり会社が有効に成立しないということになってしまいます。 同一の場所でなければ、同一の商号を使用している会社を設立すること自体、可能ではありますが、後述の類似商号の問題も存在するため、本店所在場所の近隣で同じ商号を使用する会社が既に存在している場合は、あまり好ましくありません。

●ルール③  類似商号

何人も不正の目的をもって、他の会社であると誤認されるおそれのある文字を用いてはなりません(会社法第8条)。例えば、何らかの不正な目的をもって、有名な会社と同じ又は、類似した商号を用いて会社を設立し、事業をすることは、法律で禁止されております。他の会社の商号を名乗り、その信用をもとに、不当な利益を得ることは、公平ではなく市場社会では、許されないと考えられているからです。 また、同一・類似商号を使用された者の救済方法として法律は、「故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の利益を侵害したものは、これによって生じた損害を賠償しなければならない」(不正競争防止法第4条)とも規定しております。 同一・類似商号の問題について、特に意識をせず、事業を続けていたが、知らぬ間に他社の営業上の利益を害してしまっていた場合等でも、損害賠償請求の訴えを提起される可能性がありますので、注意が必要です。

【同一・類似商号のチェック】

上記のような問題を回避するために、会社の設立の手続きのスタート時に、「同一・類似商号のチェック」を行うことが不可欠です。 同一場所に、同一商号の会社だけではなく、類似商号の会社がないかどうか。設立予定の本店の所在地の近隣に、同一商号・類似商号の会社がないかどうか等、一つひとつ、丁寧に調査を行うところから、会社設立の登記の準備を進めていく必要があると思われます。 また、商号を決定する際に、上記類似商号だけでなく、使用したい商号でドメインが取得できるかどうかの調査もしておくと良いでしょう。 ≪参考資料・文献≫ ①「新基本法コンメンタール会社法1」 奥島孝康・落合誠一・浜田道代 編 日本評論社2010 ②「論点解説 新・会社法―千問の道標」 相澤哲・郡谷大輔 ・葉玉匡美 著 商事法務  2006 (続)

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