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第11回  【会社設立の登記】編 ~未成年者の会社設立 2~

前回の記事は、未成年者であっても、大人と同じように、会社を設立してビジネスをすることができるというお話でした。しかし、同じ未成年者であっても、若年(おおよそ15歳未満)の未成年者については、法定代理人の同意を得ても、単独で会社設立行為をすることが事実上、制限されております。なぜ未成年者の年齢によって、異なった取扱いがなされているのでしょうか。その主な理由は、次のように考えられております。

 ①市区町村に印鑑登録をすることができない(形式的・手続上における理由)

15歳未満の未成年者は、市区町村に自分の印鑑を登録することができません。そのため、あらゆる会社設立の手続き上、必要とされる印鑑証明書を、用意することができません。

公証役場で定款認証を受ける際に、発起人として、定款に押印した印鑑の印鑑証明書の提出を求められます。また、法務局に会社設立の登記をする際にも、登記申請の添付書類として、印鑑証明書が必要となります(※役員に就任する場合)。つまり15歳未満の未成年者は、印鑑証明書自体を入手することができないので、原則このような手続きを行うことができないのです(※公証役場によっては、法定代理人の印鑑証明書を添付する特別な方法を採ることで、印鑑証明書を提出することができない未成年者の定款認証手続きを行うことができる場合があります。取扱いは、公証役場ごとに違うので、確認する必要があります)。

これは、手続き上必要とされている「印鑑証明書」を用意することができないという形式的な理由に過ぎませんが、印鑑登録をすることができない者は、印鑑証明書を不要とするような特例は、基本的にありませんので、15歳未満の未成年者は、事実上、単独で会社設立手続きをすることが制限されているものと言えます。

②若年の未成年者は、意思能力が備わっていない可能性があるため(実質的な理由)

若年の未成年者が単独で行う法律行為については、慎重な判断及び検討が必要とされております。

若年の未成年者は、自分が行っている行為が、どのような意味を持ち、その行為によってどのような効果が発生するのか、理解できる能力(※「意思能力」と呼びます)が、欠如あるいは大人に比べて低いことが一般的です。意思能力がない者が、行った法律行為は、当然に効力を生じないとされています(民法など法律に明文の規定はありませんが、当然のこととされています)。自分の行った行為の結果を判断する能力がない者に、その行為によって発生した責任を負わせるのは、酷だろうという考えが基になっているからです。

通説では、意思能力があるとされる年齢は、おおむね10歳くらいからとされています。

しかし、本当に意思能力が備わっているかどうかは、行う行為の内容によってもかなり変わってくると思われます。

例えば、10歳の子供が、親戚におもちゃを買ってもらう場合(※贈与契約)、自分が

そのおもちゃをもらえるのだという意味は、理解できるものと思われます。しかし、不動産の売買契約書に、買主として印鑑を押したら、お金を払わなければならないということを、10歳の子供がしっかり理解できているかどうかは、疑わしいものと思われます。

会社設立行為も法律行為に当てはまるので、若年の未成年者が、会社を設立するということについて、ちゃんとその意味を理解して行っているのかどうか、その判断は非常に難しいものと言えます。会社設立行為には、会社にお金を出資をしたり、自分が役員に就任して会社の経営を行うなど、重要な取引行為も含まれております。仮に、意思能力が欠けていると判断されれば、未成年者が行うこのような行為は、無効となってしまう危険があります。

ウェブ業界などでは、若い未成年者でも、大人顔負けのビジネスを展開している時代であることから、一律に年齢だけで判断することは、どうかという議論もなされてはいるようです。しかし、大人より判断能力が劣ることが一般的である未成年者保護の観点からも、15歳未満のような若い未成年者が、単独で会社設立行為をすることは、慎重に検討を要する問題であると思われます。

 

 

≪参考資料・文献≫

①「民法Ⅰ 第4版 総則・物権総論」 内田貴 著 東京大学出版会 2008

②「新基本法コンメンタール会社法1」 奥島孝康・落合誠一・浜田道代 編 日本評論社2010

③「論点解説 新・会社法―千問の道標」 相澤哲郡谷大輔葉玉匡美 著 商事法務  2006

 

(続)

第10回  【会社設立の登記】編 ~未成年者の会社設立 1~

未成年者も、大人と同様に、会社を設立し、ビジネスをすることができます。

先日、未成年者からの依頼で株式会社の設立登記をしましたので、備忘録的に手続きを書いて行きたいと思います。

未成年者が会社を設立するにあたり、以下の点につき、注意が必要です。

1.法定代理人の同意が必要。

未成年者が会社を設立する行為を、単独で行うことについて、法定代理人(親権者又は未成年後見人)の同意が必要になります。会社を設立する諸手続きも、法律行為に該当するので、「未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。…」(民法第5条)のルールが、原則通りに適用されるからです。未成年者が行う会社設立手続きの中で、どの手続きについて同意が要るのかまたは、全部の手続きについて逐一同意が要るのか、様々な考え方がありますが、基本的には、全ての手続きについて同意が必要と考えて、次のような行為について、法定代理人が予め同意をします。

・定款認証手続きについての同意

~公証役場において、公証人に定款の認証を受ける手続きの同意になります。

・会社設立登記の申請に関する件についての同意

~登記申請に関する同意です。未成年者が自分で登記申請を行うのであれば、その登記申請行為自体に対して、司法書士等専門職に登記申請の代理を依頼する際には、その委任契約に際して、同意をする必要があります。

・設立する会社の役員に就任することについての同意

~「株式会社と役員及び会計監査人との関係は、委任に関する規定に従う」(会社法第330条)という法律の規定があることから、会社の役員に就任しようとする者は、会社と、(役員就任の)委任契約を締結することが通常であるため、こちらでも法定代理人の同意を要します。

法定代理人の同意がない未成年者の会社設立手続きは、「取消すことができる法律行為」となり、取引の安全に影響を及ぼすため、法定代理人の同意があったことを証明する「同意書」を作成することが一般的です。そして、この同意書は、会社設立登記の登記申請の際に、法務局に提出することになります。

≪参考資料・文献≫

①「新基本法コンメンタール会社法1」 奥島孝康・落合誠一・浜田道代 編 日本評論社2010

②「論点解説 新・会社法―千問の道標」 相澤哲郡谷大輔葉玉匡美 著 商事法務  2006

(続)

第9回【会社設立の登記】編   ~会社の「本店」について~

【会社の「本店」】

会社の「本店」とは、会社が事業を行う法律上の本拠地のことを呼びます。自然人の生活の拠点とされる「住所」にあたるものです。
会社の本店は、法的には、更に、「本店の所在地」と「本店の所在場所」の2つに分類され、それぞれの言葉が使い分けられております。また会社の「本社」という言葉も、取引の世界では、登場致します。
以下、会社の「本店の所在地」・「本店の所在場所」・「本社」、それぞれの言葉の意味及びそれらの使い分けについて御紹介致します。

【本店の所在地】
会社を設立する際に、定款を作成しますが(※このような会社設立の時に作成する定款のことを「原始定款」と呼びます。会社成立の要件として、本店の所在地を管轄する公証人により、定款の認証を受ける必要があります(会社法第30条等))、会社の「本店の所在地」は、必ず定款中に記載をしなければならない事項と、会社法で規定されております(会社法第27条)。
「本店の所在地」とは、会社の本店を置いている地方自治体の最少行政区画地のことを意味しています。
この地方自治体の最少行政区画地は、本店の所在地を置く地域に従って、定款に記載・表現する方法が異なります。次のようなルールになります。
●東京都:「東京都新宿区」のように、23区の場合は、特別区の名称まで記載をします。
「東京都西東京市」のように、市又は町の場合は、市・町の名称までの記載をします。
●政令指定都市:神奈川県横浜市を最少行政区画地とし、区の名称は、記載しません。
「神奈川県横浜市」と記載すれば、足ります。
●その他の地方自治体:「山梨県甲府市」、「新潟県南魚沼郡湯沢町」のように市・町・村単位の記載となります。※郡制の場合は、郡の名称で終わらせず、町・村の名称まで必ず記載することにも注意が必要です。

【本店の所在場所】
会社の本店を置く具体的な所在場所のことを言います。
会社の本店がある住所と言い換えても良いです。上記の、会社の「本店の所在地」よりも、特定、限定された狭い概念になります。
会社の登記簿には、この「本店の所在場所」が、登記されます(会社法第911条第3項三)。
会社設立の際には、発起人の過半数の決定により決定をします。会社設立後も、業
の必要に応じて、基本的に、自由に移転をすることができます。

【会社の「本店」と「本社」】
日本国内の住所であれば、会社の「本店」は、どこに置いても、構わないとされております。また、会社法上の「本店」が、会社の「本社」(本社機能がある場所)と、場所が異なっていても問題はないとされております。
比較的小規模の会社においては、社長の個人の自宅を会社法上の「本店」とし、別の場所に、会社の本社にあたるメインオフィスを構えているケースも多いです。
会社法上の「本店」と、会社の「本社」は、厳密には違うものとされております(※通常は、国内の会社においては、両者が同じ場合が主流です)。

【定款には、どちらを記載するべき?】
定款には、会社の「本店の所在地」・「本店の所在場所」のどちらを記載するべきでしょうか?
多くの会社は、法律で最低限、記載が義務付けられている「本店の所在地」のみまでを、記載するにとどめております。定款に具体的な「本店の所在場所」まで定めることも、可能ではありますが、あまりおすすめすることはできません。
定款に「本店の所在場所」までを記載している会社が、本店を移転してしまうと、現実の本店の場所と、定款中の「本店の所在場所」の記載に、食い違いが生じてしまうため、本店移転をする度に、定款を変更する手続き(株主総会を開催し、定款変更の決議を経ること、会社法第466条・第309条2項)が必要となってしまいます。
反対に、定款中に会社の「本店の所在地」までの記載しかしていない会社は、定款記載の本店所在地の範囲内に本店を移転させる場合には、株主総会を経ることなく、本店を移転することができ、手続きが簡易になります(※会社の本店移転の決定権限は、取締役レベル(※取締役会設置会社は、取締役会の決議)にあるとされております。(会社法第348条・第362条))。

≪参考資料・文献≫
①「新基本法コンメンタール会社法1」 奥島孝康・落合誠一・浜田道代 編 日本評論社2010
②「論点解説 新・会社法―千問の道標」 相澤哲・郡谷大輔 ・葉玉匡美 著 商事法務  2006

(続)

第8回  【会社設立の登記】編 ~会社の商号について~

【会社の商号とは】

会社を作る際に、その会社の呼び名、名前を決めます。法律上、会社の「商号」と言います(会社法第6条)。今回は、会社の商号について、御紹介致します。

【会社の商号の決定】

基本的には、会社の商号は、発起人が、自由に決めることが出来ますが、いくつか制約のルールがあります。

●ルール①  会社の種類に応じた文字(言葉)を、商号中に用いること。

会社は、その種類に従って、それぞれその商号中に「株式会社」、「合名会社」、「合資会社」、「合同会社」という文字(言葉)を用いなければなりません(会社法第6条2項)。
特例有限会社にあたっては、「有限会社」という名称をその商号中に用いなければなりません(会社整備法第3条1項)。

例えば、会社の種類が、株式会社であるならば、その商号中には、必ず「株式会社」という言葉を入れなければいけません。これは、会社の種類によって、法的効果がまったく異なったものとして扱われるので、その会社が、どの種類の会社にあたるものであるかが、誰にでも、すぐ分かるようにする必要があるからです。

また、会社は、その商号中に、他の種類の会社であると誤認されるおそれのある文字を使用することはできません(会社法第6条3項)。上記と同じ理由で、会社の種類の区別がすぐに付かないような、まぎらわしい商号の表示を避けるための規定です。

●ルール②  同一場所・同一商号の会社の禁止

同一の場所に、本店を置く同一商号の会社は、登記をすることができません(商業登記法第27条)。同一の場所とは、同じ住所地のことを指します。同じ住所地に、同じ商号を使用した会社が先に登記されているときは、後からの設立の登記申請は、受付けられません。
会社は本店の所在地において設立の登記をすることにより成立する(会社法第49条等)とされているため、会社の設立の登記をすることができないということは、つまり会社が有効に成立しないということになってしまいます。
同一の場所でなければ、同一の商号を使用している会社を設立すること自体、可能ではありますが、後述の類似商号の問題も存在するため、本店所在場所の近隣で同じ商号を使用する会社が既に存在している場合は、あまり好ましくありません。

●ルール③  類似商号

何人も不正の目的をもって、他の会社であると誤認されるおそれのある文字を用いてはなりません(会社法第8条)。例えば、何らかの不正な目的をもって、有名な会社と同じ又は、類似した商号を用いて会社を設立し、事業をすることは、法律で禁止されております。他の会社の商号を名乗り、その信用をもとに、不当な利益を得ることは、公平ではなく市場社会では、許されないと考えられているからです。
また、同一・類似商号を使用された者の救済方法として法律は、「故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の利益を侵害したものは、これによって生じた損害を賠償しなければならない」(不正競争防止法第4条)とも規定しております。
同一・類似商号の問題について、特に意識をせず、事業を続けていたが、知らぬ間に他社の営業上の利益を害してしまっていた場合等でも、損害賠償請求の訴えを提起される可能性がありますので、注意が必要です。

【同一・類似商号のチェック】

上記のような問題を回避するために、会社の設立の手続きのスタート時に、「同一・類似商号のチェック」を行うことが不可欠です。
同一場所に、同一商号の会社だけではなく、類似商号の会社がないかどうか。設立予定の本店の所在地の近隣に、同一商号・類似商号の会社がないかどうか等、一つひとつ、丁寧に調査を行うところから、会社設立の登記の準備を進めていく必要があると思われます。
また、商号を決定する際に、上記類似商号だけでなく、使用したい商号でドメインが取得できるかどうかの調査もしておくと良いでしょう。

≪参考資料・文献≫
①「新基本法コンメンタール会社法1」 奥島孝康・落合誠一・浜田道代 編 日本評論社2010
②「論点解説 新・会社法―千問の道標」 相澤哲・郡谷大輔 ・葉玉匡美 著 商事法務  2006

(続)

第7回 【会社設立の登記】編 ~ 定款に、『会社の目的』を定める理由  ~

【会社の目的とは】

会社の定款中には、「会社の目的」を定める必要があります。
「会社の目的」とは、その会社が、行っている事業の内容や概要のことを指します。
「各種工業製品の製造並びに売買」、「貿易業」、「不動産の売買・賃貸・管理及びその仲介」など、具体的な業種を示すのが通例となっております。

●定款に、「会社の目的」を定める理由 その1:会社の実態把握の手段

「会社の目的」は、法律上、定款中に、必ず定めて置かなければならない事項(会社法第27条等)とされ、法務局が管轄する商業登記簿にも、その旨が登記されております(会社法第911条3項等)。
商業登記簿に登記されている「会社の目的」の内容を確認することによって、その会社が、どんな事業をしていている会社なのかを知ることができます。商業登記簿は、誰でも見ることができるため、これから会社と取引を行おうとする者は、まず商業登記簿を閲覧し、会社の概要を確認することからスタートします。「会社の目的」は、数ある登記事項の中でも、その会社の実態を明らかにすることができる情報として、非常に大きなウェートを占めているため、「会社の目的」が、会社定款で定められ、登記によってしっかり公示されていることが、市民同士の取引の安全に、一役買っていると言えます。

●定款に、「会社の目的」を定める理由 その2:権利能力を有する範囲を制限

民法第34条は、法人の権利能力について、「法人は、法令の規定に従い、定款その他基本約款で定められた目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う」と規定しています。
株式会社は営利法人なので、この条文を、そのままあてはめれば、株式会社は、予め定款に定められている「会社の目的」の範囲内に属する行為については、権利能力を有するので適法に行うことができるが、「会社の目的」の範囲を越えるような行為に関しては、権利能力を有していないとされるため、違法で行うことができないという結論になります。
民法にこのような規定があるため、会社が、定款で定められている「会社の目的」の範囲を、越えるような行為(※以下、『会社の目的外行為』と呼びます)を行ってしまった場合、その行為は、法律上有効なのか無効なのか、その法的効果の取り扱いについて、かなり古い時代から国内・外国で、議論が繰り返されておりました。従来、会社の目的外行為は、民法第34条の規定を、文言通りに忠実に解釈して、基本的に無効とするべきだという考え方が主流でした。そもそも株式会社は、賛同者がお金を出資し合い、共同で株主となり、その集まった資金をもとに、利益を生み出していくシステムを採る営利法人であるのだから、会社が本来の「会社の目的」とは関係のない行為を行った結果、損失を出し、株主を害するような事態はあってはならないので、予め定款に「会社の目的」を明確に定めて置くようにし、会社の権利能力を制限することで、株主の利益を保護する必要があると捉えておりました。
そのため、会社が何か行為をする度に、それが目的外行為にあたるから無効であると言われて、責任の追及をされることを恐れた経営者たちは、会社が現に行っている事業や将来的に展開しようと計画している事業内容だけでは足りないと考えて、会社が会社の行為として行う可能性があると思われるものを逐一ピックアップし、「会社の目的」として定款に定めるという事態が続出しました。その結果、定款の「会社の目的」の数が、数千にも及んだという会社が欧米には、あったとのことでした。
しかし、会社の目的外行為に当たる可能性がある行為を、民法第34条の条文の言葉通りに、全て形式的に無効とするという取扱いは、実際の取引社会の実情に合わず、株主の利益を保護するという趣旨の反面、会社を信じて取引を行った相手方(第三者)を著しく害してしまうものとして、強い批判がありました。また、そもそも何が会社の目的の範囲内に属する行為であって、何が会社の目的外行為にあたるのか、その基準も曖昧で、区別は非常に困難でした。

株主が、会社の目的外行為を行い、損失があったことを理由に、役員の責任を追及する訴訟が頻発するなか、最高裁判所が、次のような判断をし、会社の目的外行為の法的効力の取り扱いの問題について、一定の決着を付けました。
・「会社の目的自体に包含されない行為であっても、目的遂行に必要な行為は、目的の範囲に属する」(最判昭27・2・15民集六-二-七七)。
・「(営利)法人の行為が、当該法人の目的の範囲内に属するかどうかは、その行為が法人としての活動上必要な行為でありうるかどうかを客観的、抽象的に観察して判断するべきである」(最判昭44・4・3民集二三-四-七三七)。
・「会社による政治資金の寄附(※会社による特定政党に対する献金が、会社の目的外行為であると争われた事件)は、客観的に、抽象的に観察して、会社の社会的役割を果たすためになされたものと認められる限り、会社の権利能力の範囲に属する行為である」(最大判昭45・6・24民集二四-六-六二五)。

このように、会社の行為が目的の範囲内に属するかどうかは、その行為が「会社の目的」に関係しているものであるか、会社として活動する中で必要な行為かどうか等、客観的、抽象的に観察して、総合的に判断するべきであると、最高裁判所は判断しました。こちらが、現在の通説的な考え方となっております。定款に定められている「会社の目的」の文言自体そのままを基準にするのではなく、行為の目的・意図・趣旨・態様などを、具体的に精査し、柔軟に判断する必要があると言えます。

●定款中の「会社の目的」の定めの記載は、どの程度必要かについて。

上記最高裁判所の判例の趣旨が示すとおり、会社が定款に記載のない行為を行ったからといって、それが直ちに「会社の目的外行為」と認定される訳ではないので、定款中の「会社の目的」の定めの記載については、あまり過剰に、神経質になる必要はありません。よって、定款中に、「会社の目的」を、不必要なまでに、あれもこれもと羅列する必要はないと考えられます。あまりにも「会社の目的」の数が多いと、それだけ複雑となり、会社の実態把握という面においても、マイナスに働いてしまうと思われます。
しかし、法人は、法律によって特別に、市民社会において権利能力を有すると認められた存在なので〈第1回記事参照〉、自然人とまったく同じように扱う訳にはゆかず、法人の権利能力を「会社の目的」の範囲に限定する民法34条の原則規定の趣旨は、尊重される必要はあると思われます。現に行っている事業や将来、ビジネスとして計画している事業の内容については、「会社の目的」の定めの中で、明示するべきと考えます。
また、業として行うのに、事前に国・地方公共団体から許可を得る必要がある事業形態については、定款中の「会社の目的」に、許可対象となる事業の内容をしっかり定めていないと、許可を得られない場合がある等、注意が特に必要です。

≪参考資料・文献≫
①「民法Ⅰ 第4版 総則・物権総論」 内田貴 著 東京大学出版会 2008
②「新基本法コンメンタール会社法1」 奥島孝康・落合誠一・浜田道代 編 日本評論社2010
③「論点解説 新・会社法―千問の道標」 相澤哲・郡谷大輔 ・葉玉匡美 著 商事法務  2006

(続)

第6回 会社設立の登記】編 ~法人構成員の責任限度の範囲  有限責任と無限責任~

法律によって設立が認められている法人の形態(株式会社、持分会社、一般社団・財団法人等)の中から、ビジネスモデルに合う法人の形態を選択し、自由に設立をすることができるというお話を、これまで紹介して参りました。

この法人形態の選択をするとき、非常に重要な問題があります。

『法人構成員の、法人債権者に対する責任限度の範囲』についてです。
法人が自己の法人財産で、債務の弁済をすることができなくなった時、その法人の
構成員は、法人に代わって、法人債権者に対して、法人債務の弁済をする義務があるかという問題になります。もし、法人(例えば、株式会社)に出資を行った法人構成員(例えば、株主)にも法人自体が負担した債務の弁済の責任があるということであれば、法人構成員は、出資をすることをためらってしまうということも考えられます。

【1. 一般原則 ~ 個人が負った債務は、個人が責任を持つ】
例えば、Aにお金を貸しているXは、Aがお金をまったく返さなくなった場合、裁判所に訴えを提起し、勝訴判決を得て、Aの所有する財産について強制執行(差押え)をし、財産を金銭に換価し、貸金を回収する手段を取る必要があります。
この時、Aに差押えられそうな、めぼしい財産がないからといって、Xは、Aとは全くの他人であるBに対して、Aの債務についての支払いを求める裁判をすることはできません。また、Bの財産について差し押さえをすることも、許されておりません。
自らの意思で負担をした債務については、その人個人が責任を持つことが、大原則とされているからです。Bは、他人であるAの債務を肩代わりする義務は、一切ありません(※BがAの保証人となっていたケースも考えられますが、その場合は、Bと債権者Xとの間で、保証契約を締結しています。Bは、自らの意思でXに対して保証債務を負っていることになりますので、Xから請求されることは当然であります)。

【2. 法人の場合 ~ 例外有】
法人が、債務の弁済をすることができなくなった時、法人債権者は、その法人の構成員に対して、法人に代わって、法人債務の弁済を求めることができるのでしょうか?法人の構成員は、自分の個人財産を出してまで、法人債務を弁済する必要があるのでしょうか?
上記1.の一般原則をそのまま当てはめると、法人とその法人構成員は、法律上それぞれ別々の権利主体とされているので、法人が負った債務に対して、その法人構成員が個人で弁済をする必要はないという結論になります。
しかし、法人に関しては、その形態により、上記1.の一般原則とは異なったルールが、採用されており、結論が変わってしまいます。すなわち、法人の形態によっては、法人債務について、その法人構成員に、弁済の義務が生じることがあります。

【3.会社形態によって異なるルール ~ 有限責任と無限責任】
●株式会社
株主は、会社債権者に対して、会社に出資をした金額(株式)を限度に、責任を負います。会社の経営が傾き、債務超過になったとしても、株主は、出資した株式の金額が戻って来ないというリスクだけを負うものであり、会社債権者に対して、それ以上の責任を負うことはありません。すなわち、会社債権者は、株主個人に対して、法人債務の弁済を求めることはできません。このルールを株主の「間接有限責任」と呼びます。

株式会社は、会社の所有(会社のオーナーは、株主であること)と経営(会社の経営は、取締役など経営のプロフェッショナルである役員が行うこと)の観念が、原則分離をしているタイプの法人となっています。
会社経営のルール(役員の選任方法、・株主総会の運営・取締役の職務の執行などその他会社経営に関する決まりごと)、公正明確な会計計算基準(貸借対照表等の計算書類を作成し、公告をする義務があることなど)及び厳格な配当等規制(株主への配当・自己株式の取得など、会社財産の不当な流出を防止する仕組み)が法律で逐一定められているため、会社の財産と株主個人の財産は、完全に峻別されます。このようなシステムによって、会社の財産は、厳格に管理・担保されており、会社債権者の保護が図られていると言えます。よって、会社債権者は、会社財産だけを自己の債権の引き当ての対象とすれば良く、株主個人の財産までを当てにする必要はないと考えられていることが、株式会社の株主の責任限度が、有限責任とされている理由とされております。

●持分会社1 (合名会社及び合資会社の無限責任社員)
社員個人は、会社債権者に対して、原則無制限に責任を負います(無限責任)。会社債権者が、直接社員個人に対して、債務の弁済を請求し、社員個人の財産を差し押さえることも可能です。
しかし、持分会社の社員は、常に個人の財産をもって、会社債務を弁済しないといけない訳ではありません。会社に、債務を完済するのに充分な財産があるときは、まずは会社財産をもって弁済させることが当然であり、それでも完済が出来ない時になって初めて、社員個人レベルで弁済の責任を負うものとされております(会社法第580条・第581条)。

持分会社は、株式会社のように、所有と経営の観念が分離されておらず、原則法人の構成員たる地位の社員が、会社のオーナーであるのと同時に、経営者であることに特徴があります。
すなわち、所有と経営が一体となったタイプの法人であり、持分会社と社員は事実上、一心同体の存在に近いものと考えられているため、無限責任のルールを採用されていると考えられております。
また、持分会社は、貸借対照表の公告義務がないなど、会社財産と社員個人財産の区別を担保する制度が、株式会社に代表される所有・経営分離型の会社ほど、厳格ではないなど、社員の責任限度を無限責任にする制度上の理由も見受けられます。

●持分会社2 (合同会社及び合資会社の有限責任社員)
株式会社と同じく、社員の責任限度は、有限責任とされております。いずれも平成17年会社法改正により、持分会社の特別な類型として、認められた会社形態となります。上記の通り、持分会社は、会社の所有と経営の観念が一致した会社が原則ですが、立法政策により、従来は認められていなかった業務執行社員の責任の限度を、有限責任とするタイプの持分会社も用意しております。

●一般社団法人・一般財団法人
一般社団法人及び一般財団法人についても、株式会社と同様、所有と経営の観念が分離されており、法人運営のルールと公正明確な会計計算基準及び厳格な配当規制の仕組みが確立されています。法人債権者の保護の観点からも、充分担保されている制度があるので、法人構成員の責任限度の範囲は、有限責任と考えられております。

≪参考資料・文献≫
①「民法Ⅰ 第4版 総則・物権総論」 内田貴 著 東京大学出版会 2008
②「新基本法コンメンタール会社法1」 奥島孝康・落合誠一・浜田道代 編 日本評論社2010
③「論点解説 新・会社法―千問の道標」 相澤哲・郡谷大輔 ・葉玉匡美 著 商事法務2006

(続)

第5回  【会社設立の登記】編 ~一般社団法人・一般財団法人の設立~

2006年の公益法人制度改革関連3法案の成立により、社団法人・財団法人の設立が、容易になりました。

従来、旧公益法人(旧社団法人、旧財団法人)の設立手続きには、主務監督官庁(国)の許可があることが要件となっていましたが、現在、それらは、一切不要となっております。
株主会社と同じように、法律で決まった諸手続き(公証人による定款の認証後、設立の登記をすること)を完了させれば、原則誰でも、一般社団法人・一般財団法人を作ることができるようになっています。前回の記事で取り上げました「許可主義」から「準則主義」への転換ケースです。

【旧社団法人・旧財団法人の本分】
旧社団法人及び旧財団法人は、社会に何かしらの寄与・貢献をしている活動(公益活動)を行っている人の団体や、公のために支出・役立てられている財産の集合体に、特別に法人格を付与されたものと定義されていました。
株主や会社構成員の利益を、追求する事業を本質とする営利法人の代表格である株式会社とは異なり、旧社団法人及び旧財団法人は、公益活動を行うことが本分であるという認識がありました。そのため、旧社団法人・旧財団法人の設立の条件として、活動・目的の「公益性」が求められました。「公益性」があるかどうかが、社団法人・財団法人の成立を、左右しました。

【「公益性」の判断は、誰が行うもの?】
団体の活動が公益的であるか。そもそも「公益」とはどのようなことを「公益」と呼ぶにふさわしいのか。これら「公益性」の判断は、国(主務監督官庁 ※活動の内容によって区分がありました。例えば、教育関係の活動であれば、文部科学省が監督するなど)が、独占して行っておりました。
公益性があると判断されれば、法人設立の許可が出され、反対に、公益性がないと判断がされれば、許可はされないという取扱いでした。つまり、国の許可がなければ、自由に、社団法人や財団法人を作ることができなかったのです。

【公益活動の担い手の転換】
しかし、何が「公益」にあたるかという「公益性」の判断は、一概に判定をすることは難しく、国が、その判断を独占し、社団法人及び財団法人の設立許可の裁量権の全てを有する手法には、ずっと異論がありました。本来、何が「公益」にあたるかという「公益性」の判断は、社会全体で考えるべきものなのではないかとの疑問があったためです。

また、福祉・教育・経済産業の振興・国防等、公益活動分野の大部分を、歴史的には国が担ってきましたが、社会の複雑化に伴い、国家予算の問題から、それら公益的活動の全てを、国が対処するやり方は、困難になってきました。
公益活動は、利益に直結しないものも少なくなく、(国と並び、社会で大きな力を発揮することができる存在である)営利法人である株式会社等にとって、算入が難しい場合も多いです。
そこで、国・株式会社等に代わる、現代社会において益々必要とされる公益活動の担い手として、「民間の力」を活用しようとする改革が押し進められました。ここで言う「民間の力」とは、人間個人(社会における市民一人ひとり)のことを指していると言われております。
公益活動に熱心に取り組みたいと思う人間が集合して団体を結成。公益用途のお金を募り、財団を形成。それら団体や財団の法人化が、公益活動をより促進させると考え、国の許可制(許可主義)を廃止し、一般社団法人・一般財団法人の設立を容易にする考え(準則主義)を採用しました。

≪参考資料・文献≫
1,「民法Ⅰ 第4版 総則・物権総論」 内田貴 著 東京大学出版会 2008
2,「新基本法コンメンタール会社法1」 奥島孝康・落合誠一・浜田道代 編 日本評論社2010

(続)

第4回 【会社設立の登記】編 ~法人設立の2つの考え方 設立準則主義と設立許可主義~

前回の記事は、会社は、誰でも、自由に、いつでもすぐに作ることができることを、テーマとしておりました。これは、法人の「設立準則主義」という言葉で、説明がなされています。会社の設立にあたって、設立を希望する者が、法律に則った設立手続きを完了しさえすれば、それだけで、自動的に会社が、成立するということを意味しています。一方、法人の設立にあたって、「設立許可主義」という考え方があります。こちらは、「設立準則主義」とは、まったく正反対の意味を持ちます。

 

法人設立の条件として、設立希望者が行う設立の手続きだけでは足りず、法人設立につき、国または行政機関の許可を得ることが必要であること。つまり、国または行政機関に、法人設立の許可を出すかどうかの裁量権が、与えられているというものです。

 

歴史的に見ると、欧米諸国において「法人」という法概念の誕生以来、ほとんど全ての国家が、法人の設立に対して、国や君主の許可を必要とする「設立許可主義」を採用しておりました。

しかし、19世紀のアメリカで、法人(会社)を設立したいと思う者が、わざわざ国に許可を得るまでもなく、自由に、法人(会社)を設立することができる「設立準則主義」に基づいたシステムが誕生しました。自由な会社設立システムが、取引市場を莫大に活性化させ、強大な資本主義経済の発展につながりました。

 

このようなアメリカの成功に刺激され、以降、世界各国が追随し、法人(会社)設立につき、「設立準則主義」の考え方が、主流となっていきました。日本においても法律制定創生期は、法人(会社)設立に対して、「設立許可主義」の考え方を採っておりましたが、明治商法改正(1899年)を機に、「設立準則主義」の採用にシフトしました。現在の我が国においては、「株式会社」、「合名会社」、「合資会社」、「合同会社」、「一般社団法人」、「一般財団法人」、「マンション管理組合法人」等、ほとんどの法人設立につき、「設立準則主義」が採られております。例えば、株式会社の設立の場合、発起人(※会社設立希望者で、会社に出資する人のことを言います)が、公証人に会社定款の認証を受け、会社設立の登記申請を行うことにより、会社が成立します(会社法第49条、同911条)。しかし、設立につき、国等行政機関の、一定の認可・認証が必要な法人のタイプもあります。医療法人、学校法人、社会福祉法人、中小企業等協同組合、NPO法人、宗教法人などがあげられます。

 

≪参考資料・文献≫

①「民法Ⅰ 第4版 総則・物権総論」 内田貴 著 東京大学出版会 2008

②「新基本法コンメンタール会社法1」 奥島孝康・落合誠一・浜田道代 編 日本評論社2010

(続)

 第3回【会社設立の登記】編 ~会社は、ひとりで、自由に、いつでも、すぐに作れます!~

●いざ、「会社」を作ろうとするとき、最初に何を考える必要があるでしょうか?

 

 

まっさきに思い付くのは、会社の『人』や『お金』についてです。具体的には、会社にお金を投資してくれる人(株主)や会社を経営するメンバー(役員)を探し、会社の規模によっては、従業員も募集しなければなりません。起業家にとって、この『人』や『お金』を集めるタスクは、時間とコストがかかる大変なもので、なかなか会社を作れず、ビジネスをスタートさせることができないという話も、お聞きします。

しかし、例えば、株式会社の場合、会社の構成員となる人間(※株式会社において、「株主」のことを言います)が、最低1名いれば、会社(通称「一人会社」)を設立することが出来ます。新しく起業をしたいと思う人が、自分ひとりだけで、自ら会社にお金を出資し、自ら社長となって、会社を設立し、すぐにビジネスをスタートさせることができるのです。社員の人数、資本金の額、現在過去の商売業績や実績などは、関係がありません。法律で決められた設立の手続きを行えば、どなたでも自由に、迅速に、株式会社を、作ることができます。つまり、とりあえず会社を設立し、ビジネスをスタートさせた後、継続的に、会社の『人』や『お金』を集めていくという合理的な方法を採ることも可能になります。

 

 

●通称「一人会社」は、法律上認められているもの?

 

 

会社に、人間がひとりだけしかいない、通称「一人会社」が、法律上、認められているのかという問題があります。一般的に会社という言葉を聞くと、オフィスに人がたくさん集まって働いているイメージがあるかと思われます。ひとりだけで、商売をしているものに、それを会社とするのは、なんか変ではないかという違和感は、確かにあります。また、法律上の規定も、旧商法下では、株式会社の設立時に、株主は最低7名以上が必要とされていました(平成2年改正前旧商法第165条)。最低7名の株主を、探して来なければ、株式会社を作ることができませんでした。さかのぼり、戦前においては、会社設立後、株主が7名を下回ったときは、株主会社は解散するとさえされていました(昭和13年改正前第221条3号)。さらに、法律上の定義として、会社は、社団法人であるという規定がありました(旧商法第52条・54条)。従来、会社は、営利事業をすることを目的とした人の集まり(※これを法律用語で「社団」と言います)であって、それに法人格が付与されたもの(※これを法律用語で「法人」と言います)であると、考えられていたようです。

このように会社は、社団法人であると法律で明確に定められているのだから、人の集まりの実態がない「一人会社」は、認められない。そんな疑問や考え方が、存在しておりました。しかし、取引社会の要請上、旧商法時代から、「一人会社」の存在は、一般的に認められておりました。上記の、設立時株主の人数制限や株主の最低人数を下回ることにより会社が解散する等の旧商法の諸規定は、逐一改正・廃止し、取引社会の要請に応えておりました。現行の会社法は、「会社は、法人とする」(会社法第3条)と規定しています。会社法は、会社を社団法人とする旧商法第52条・第54条の規定内容を、そのまま引き継ぎませんでした。これは、「一人会社」の設立が、当然に認められていることを、法律の条文上からも、はっきりさせるために、人の集まりの意味を持つ「社団」という言葉を、条文から意識的に、取り除いた趣旨ではないかと、考えられております。

 

 

≪参考文献・資料≫

①「民法Ⅰ 第4版 総則・物権総論」 内田貴 著 東京大学出版会 2008

②「新基本法コンメンタール会社法1」 奥島孝康・落合誠一・浜田道代 編 日本評論社2010

(続)

 

 

【会社設立の登記】編  第2回『法律』がなければ、会社(法人)は、存在しない

人間ではないのに、市民社会において「権利義務の主体」となることにつき、法律によって特別に認められた団体または、特定の人間や財産の集まりのことを、「法人」と呼びます。

前回の記事で、紹介させていただきました。本日のお話も、その続きになります。

 

ひと口に、法人と呼ぶものにも、多くの種類・形態があります。

代表的なものを、以下にあげます。

 

 法人の種類とその成立の根拠となる法律

 

法人の種類                  成立の根拠となる法律

 

【社団法人】

・株式会社、持分会社           「会社法」

・一般社団法人               「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」

・NPO法人                  「特定非営利活動促進法」

・労働組合法人               「労働組合法」

・宗教法人                  「宗教法人法」

 

【財団法人】

・一般財団法人               「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」

・相続財産法人               「民法」

 

 

法人が、成立するためには、その「法人」について、具体的な通則や運営のルールを定めている、根拠となるべき『法律』が、制定されていることが、大前提となります。

そして、各法律に規定された「その法人となるための、要件が満たされていること」及び「その設立の手続きを経ること」が、法人の成立の条件となります。

 

人間と同様に、市民社会において、権利義務の主体となることにつき、価値があると判断されたものについてのみ、法律が、法人となることを認めています。

根拠となるべき法律が制定されていない以上、たとえどんなに、たくさんの人間が集まっている団体であっても、膨大な財産であっても、「法人格」を取得することはできません。

 

≪参考資料・文献≫

①「新基本法コンメンタール会社法1」 奥島孝康・落合誠一・浜田道代 編 日本評論社2010

(続)

 

会社登記に関する連載記事スタートしました!!

●当事務所では、日々、幅広く、会社の登記の業務に、取り組んでおります。
会社設立登記から、種類株式の登記・増資の登記・ストックオプションの登記等。昨年も、たくさんの業務に、携わりました。

新年より、司法書士事務所独自の視点から、当事務所で取り扱うことが多い登記の類型ごとに、あらゆるテーマを設定し、会社の登記に関する情報やお話を、継続的にアップさせていただきたく思っております。

第1回   【会社設立の登記】編
~会社を設立することの、法律上の意味と効果~

(1)会社=法人
会社を設立する目的や動機は、様々です。
・個人事業主の法人成り
・新規事業立ち上げ
・事業拡大のため(社会的な信用度が高まり、あらゆるビジネスチャンスが広がります)
・資金の調達のため(金融機関・投資家の信用がアップします)
・公的支援を受けるため(昨今、各種支援制度が拡充しています)
・従業員の福利厚生制度充実のため
・節税のため
・会社(法人)にしないと営業を行うことが出来ない事業に参入するため

他にもいろいろ考えられますが、代表的なものとしては、以上のようなものを挙げられると思われます。
会社を設立するメリットはたくさんありますが、会社を設立することが、法律上、どのような意味を持ち、どのような効果があるのか?
今日は、このような法律的な観点のお話を、させていただきます。

(2)会社が、「法人格」を取得することの意味

・会社は、設立することによって、「法人格」を取得することができます(会社法第3条参照)。

この「法人格」を取得することこそ、上記で言う法律上の意味及び効果にあたります。これには、とても大きな意味があります。本日の記事で、一番強調をしたい点です。

会社は、法人格を取得することによって、市民社会における「権利義務の主体」となることができます。具体的に、会社が自ら、次のようなことが、できるようになることを言います。

1、会社名義で、各種契約を締結することができるようになる。取引を行うことができる。
2、会社名義で、銀行口座を開設することができる。
3、会社名義で、お金を借りることができる。
4、会社名義で、財産(不動産など)を所有することができる。
5、会社名義で、裁判を行うことができる。

上記1~5の内容で、だいたいのイメージは、掴んでいただけたと思われます。
現代社会において、会社が、自らの名義で、上記1~5にあたる行為をすることができることについて、疑問に感じたり、異論を唱える人はいません。社会の共通認識となっているからです。

しかし、歴史を遡ってみると、「権利義務の主体」となれる資格は、人間(※血の通った生身のヒト)にしか認められておりませんでした。例えば、物の売買の、契約の当事者である売主及び買主は、人間しかなりえない。昔は、そのような理解でした。
ところが、時代が移るにつれ、やがて市場経済が発展していくと、人間だけではなく、あらゆる形の存在(例えば、特定の人間の集団や団体、財産の集合体など)にも、取引の社会に参入する需要が生じ、高くなっていきました。(※この辺りの事実の詳細につきましては、歴史上の沿革があるそうなのですが、まったくの専門外につき、ここでは、記述しておりません)。
そこで、人間そのものではないけれども、人間と同じように取引の社会において、「権利義務の主体」となることが出来る存在を、法律が特別に認め、生み出しました。
それらは、読んで字の如く、「法人」と呼ばれます。そして、会社も、この「法人」に該当します。

(3)会社は、法律が作り出した存在。法律があるから、会社がある。

法律が、「法人」というものの存在を認め、作り出したことについて、民法典の中を見ると(民法第33条以下参照)、知ることができます。
法人には、たくさんの種類があり、それぞれにつき、ルールを定めた独自の法律が存在します
(※なお、各種法人の種類につきましては、次回以降、説明させていただきたく思っております)。
会社法人については、会社法が、会社に関するあらゆる細かいルールを定めております。

(続)  担当 波木井 浩


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