第4回 【会社設立の登記】編 ~法人設立の2つの考え方 設立準則主義と設立許可主義~

前回の記事は、会社は、誰でも、自由に、いつでもすぐに作ることができることを、テーマとしておりました。これは、法人の「設立準則主義」という言葉で、説明がなされています。会社の設立にあたって、設立を希望する者が、法律に則った設立手続きを完了しさえすれば、それだけで、自動的に会社が、成立するということを意味しています。一方、法人の設立にあたって、「設立許可主義」という考え方があります。こちらは、「設立準則主義」とは、まったく正反対の意味を持ちます。   法人設立の条件として、設立希望者が行う設立の手続きだけでは足りず、法人設立につき、国または行政機関の許可を得ることが必要であること。つまり、国または行政機関に、法人設立の許可を出すかどうかの裁量権が、与えられているというものです。   歴史的に見ると、欧米諸国において「法人」という法概念の誕生以来、ほとんど全ての国家が、法人の設立に対して、国や君主の許可を必要とする「設立許可主義」を採用しておりました。 しかし、19世紀のアメリカで、法人(会社)を設立したいと思う者が、わざわざ国に許可を得るまでもなく、自由に、法人(会社)を設立することができる「設立準則主義」に基づいたシステムが誕生しました。自由な会社設立システムが、取引市場を莫大に活性化させ、強大な資本主義経済の発展につながりました。   このようなアメリカの成功に刺激され、以降、世界各国が追随し、法人(会社)設立につき、「設立準則主義」の考え方が、主流となっていきました。日本においても法律制定創生期は、法人(会社)設立に対して、「設立許可主義」の考え方を採っておりましたが、明治商法改正(1899年)を機に、「設立準則主義」の採用にシフトしました。現在の我が国においては、「株式会社」、「合名会社」、「合資会社」、「合同会社」、「一般社団法人」、「一般財団法人」、「マンション管理組合法人」等、ほとんどの法人設立につき、「設立準則主義」が採られております。例えば、株式会社の設立の場合、発起人(※会社設立希望者で、会社に出資する人のことを言います)が、公証人に会社定款の認証を受け、会社設立の登記申請を行うことにより、会社が成立します(会社法第49条、同911条)。しかし、設立につき、国等行政機関の、一定の認可・認証が必要な法人のタイプもあります。医療法人、学校法人、社会福祉法人、中小企業等協同組合、NPO法人、宗教法人などがあげられます。   ≪参考資料・文献≫ ①「民法Ⅰ 第4版 総則・物権総論」 内田貴 著 東京大学出版会 2008 ②「新基本法コンメンタール会社法1」 奥島孝康・落合誠一・浜田道代 編 日本評論社2010 (続)

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